読書 「偽りの血」

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作者・笹本稜平に関しては、以前に「時の渚」を読んだかなぁ、裏のあらすじを見て読まなかったかなぁ、といった記憶しかないが、本作はその、裏のあらすじを読んで購入してみた。

兄の自殺から六年、深沢は兄が自殺の三日前に結婚していたこと、多額の保険金がかけられていたことを知らされる。一般の兄弟以上のつながりを感じさせる深沢兄弟には、子供の頃から父親に対するぬぐいがたい不信感があった。もしかすると、父が兄を・・・? 真相を探る深沢は、兄の妻や弁護士の協力も得ながら、事件の真相を探り始める。そこへ死んだはずの兄からメールが届いて・・・。


私が購入を決めたのは、「長編ミステリ」という惹句がカバーのあらすじにあったからだが、ミステリという範疇の作品ではなかった。もう、何度も(ほんとに何度も)ここに書くが、この手の「詐欺」的手法はやめてもらいたい。・・幻冬舎文庫かぁ・・、このブログで酷評した「仮面警官 」を出してるところか・・・。だめだな、この会社。

どちらかといえば、サスペンス物にジャンルされる作品なのだと思う。子供の頃拾った拳銃(物語の構成上、どうしても必要なアイテムだとは思えない。兄弟の絆の象徴としての意味なのか)、保険金詐欺(トリックというほどのものではなかった)、復讐譚(ある人物が事件の首謀者を殺めますが、話の収め方としてはいかにも唐突)・・と、盛り込まれた要素は多い。が、どれも処理が甘い(カッコ内に私の感想を記しました)上に、肝心の「死んだはずの兄からメールが届いて」の謎解きが、ありえないほど乱暴に処理されている。ネタバレ→死んだはずの兄は、記憶喪失者として生きていた。断片的にあるいは一時的に?記憶が戻ることもあり、その際にネットカフェから弟へメールを入れていた、というオチ。限りなく夢オチに近いものがあり、謎解きとしてはアンフェア以下である。

私にとってよく分からなかったのは、冒頭(ストーリーとしてはエンディング)に、深沢が持っていた拳銃を投げ捨てる場面がある。ネタバレ→その前段階で、弁護士に「射殺した」と告げている以上、証拠として持っていた方が良かったのではないだろうか?というのも、どうやら深沢は、兄嫁に対して恋慕の情を覚え始めており、出所後の自分を待っていてくれるだろうか?と述懐しているのだ。罪は罪として償い人生をやり直す、という決意があるのならば、証拠物件を投げ捨てるという行為が、裁判での心証上どうなのか?という程度の計算はあってしかるべきなのではないだろうか、と思うのだ。・・ブンガクとして、読むのなら、兄との決別を示す行為、ともとれるが、物語全体にそこまでの深さはない、と思う。


偽りの血 (幻冬舎文庫)
幻冬舎
2010-10-08
笹本 稜平

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