読書 「死墓島の殺人」

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岩手県沖合いの島、偲母島の断崖で、島の実力者・海洞貞次の変死体が発見される。偲母島には、江戸初期に遡る忌まわしい言い伝えがあり、「死墓島」とも呼ばれる島だった。岩手県警が捜査に乗り出すが、第二、第三の殺人が起こり・・・。

作者は大村友貴美。前作「首挽村の殺人」で、第27回横溝正史ミステリ大賞を受賞しているようだ。本作も受賞作同様に、東北地方を舞台に因習まつわる「横溝」的な舞台設定を行っているが・・・、はっきり言って駄作である。どうしても読むのだったら、中古本で安く手に入れるか、図書館で借りて読まれると良い。

まず、人物の造形がまったくなっていない。妙にエキセントリックだったり(龍門母娘)、幼く饒舌なだけの相棒刑事(有原刑事)だったり・・・。会話の言葉遣いでも、ときに女言葉っぽくなる主人公刑事(藤田刑事)が気持ち悪い。さらには、中途半端な捜査陣内の軋轢が出てきたり、特に解釈を加えられることのない伝唄「陣屋の子守唄」が何度も出てきたり、藤田刑事の必然性の無い内面反省があったり、小説としても何を描きたいのかがはっきりしない。アマゾンでの前作のレビューを見ると「人物の内面の掘り下げが足りない・・」といったものがあったから、それをケアしようとして、自己満足に終わっている、という見方が妥当なところか。横溝を意識するのはいいが、この作者にはいささか荷が重いようだ。・・・横溝正史というよりは、どちらかと言えば内田康夫か、といった感じはしたが、内田作品の方がまだ気骨だけはあってマシである。この作者、何より基本的な筆力が無い。

小説としていかがなものか、という点はそれでも好き嫌いの部分もあろうから、ひとまずおくとしても、ミステリとしてひどいのは、ネタバレ→複数いる犯人が完全な共犯関係にないこと。また、事実上の主犯格である森谷瞳の、作中での描写があまりにも軽く、かつある種の精神症状態にあったというオチは、推理小説として完全にルール違反である。これに比べれば、捜査中の警察に都合よくかかってくる密告電話や、海洞光子と宝屋敷淑乃の思わせぶりな会談がメロドラマ落ちで片付けられたことなどは、かわいいものである。

角川文庫さん、これ詐欺に近いよ。

↓買うと損するよ、という意味で

死墓島の殺人 (角川文庫)
角川書店(角川グループパブリッシング)
2010-09-25
大村 友貴美

ユーザレビュー:
とても楽しめました自 ...
本格派、少し探偵小説 ...
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