読書 「少女Aの殺人」

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先だって読んだ「そして誰もいなくなる」が、いくつか瑕疵は感じたものの、パズル的でまずまず面白く読めたので、今邑彩の作品をもう一つ読んでみよう、と選んでみた。

深夜放送「ミッドナイト・ジャパン」。その冒頭、人気DJ、新谷可南がリスナーの女子高生から送られてきた「養父に身体を触られるのが、嫌で嫌でたまりません。このままでは自殺するか、養父を殺してしまうかも―」と、実にショッキングな投書を読み上げた。これを聞いていた芙蓉女学院高校の教師、脇坂は、そのDJ新谷から電話を受ける。二人は高校の同級生。投書にはF女学院とあり、芙蓉女学院を指すのではないか、調べて事件を未然に防ぐことはできないか、という電話だった。脇坂が調べてみると、校内には、高杉、諏訪、松野と3組の父娘があることが分かる。高杉は教師、諏訪は刑事、松野は医師と、それぞれの父親は固い職業についていた。そんな中、教師の高杉が殺されるという事件が起こってしまった・・・。

良く出来たパズル感は、「そして誰もいなくなる」にも勝るものがある。だが、残念ながら出来すぎているとでもいうのか、ミステリを読みなれた人には、物語の半ばで真犯人の想像されてしまうだろう。ネタバレ→新谷が脇坂に電話をかけた理由が、F女学院とあっただけの投書に対して「芙蓉女学院だと思うんだよね」とかなり断定的だったところで、読者に疑念を持たせるに十分である。脇坂にとっては、自分が勤める高校なので「もしや」と思うこともあるだろうが、芙蓉女学院との縁を持たない新谷がF女学院=芙蓉女学院と連想するには無理がある、と思うのだ。と思っていたら、著者も第4章が終わった時点で真犯人を指差する。そりゃそうだよなぁ、あと残り2章もあるし。ネタバレ→・・・と期待したが、残りは動機と因縁の解説にあてられるだけに終始してしまい、尻すぼみ感は否めなかった。新谷は北海道に行っていたはずのアリバイも、実は行っていなかった、という手抜きというかアンフェアな処理。

構想は面白いけれど、よくあるパターンっちゃあ、よくあるパターン。ただ、その構想を得た時点で、著者は満足しちゃったんじゃないかなぁ、と私は思う。あとがきにあるように、文庫化にあたってノベルズ版を直した状態が本作だとすると、残念ながら今邑彩、志が低いなぁ、というのが評価である。


少女Aの殺人 (中公文庫)
中央公論新社
2010-07-23
今邑 彩

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