読書 「ブレイクスルー・トライアル」

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第5回『このミステリーがすごい!」大賞受賞作。著者は伊園旬。
伊坂幸太郎を思わせる諧謔的な台詞回しが楽しく、読みやすさは秀逸。

それぞれに過去を抱えた大学の同級生、門脇と丹羽が、ある企業が企画したセキュリティ突破シミュレーションに挑む。そこにダイヤモンド強奪犯グループや、ライバル企業からの派遣チームも関わって・・。

本書のタイトル「ブレイクスルー・トライアル」は、作中のイベントの名前でもある。が、本文322ページのうち、実際の突破ゲームが始まるのは168ページから。その前は、イベントに関わることになる者たちの「人となり紹介」に費やされている。ページを繰るにつれ薄くなっていく残りページ。どんな仕掛けがあるのかなと期待していたが、びっくりするような大逆転は、残念ながら、ない。最初に感じた高揚感はだんだん尻すぼみになっていき、ネタバレ注意→門脇・丹羽を支援する中井が、蛙というコードネームでダイヤモンド強奪犯グループにもダブルエージェントしているにも関わらず、何も起きない!! というガッカリもある。もう一つ挙げると、第3章の48のくだりなど、上手く料理すれば深みが出るのに、ぜいたくに切り捨てた要素もある。公募条件ゆえの枚数不足といえばそれまでだが、「大賞」に対する読者の期待値を考えれば評価は微妙なところだろう。

拾いきれない伏線の散在や、「トライアル」ゆえの緊張感の欠如など、気になる要素は多い。が、最初に書いたように読みやすさは保証する。私には文章の軽さが心地よかった。今は文庫版も出ているようだから(私は単行本をBOOK OFFで買った)、それくらいの価値はあるように思う。選考委員各氏ではないけれど、この作者の今後に期待、といったところかしらん。


ブレイクスルー・トライアル ~第5回『このミステリーがすごい!』大賞 大賞受賞作~
宝島社
伊園 旬

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